五十嵐正俊 Words

現在

駅からのびたまっすぐな道に
数え切れない想い出が並ぶ
風に揺られる綺麗なざわめきを
現在は静かにながめるよ

突然切られた糸のように
これが別れかとたちつくしていた
も少しましだと思ってた日々を
しゃべらない街に耳を傾ける

出逢う喜びと悲しい別れ
どちらも欲しがる欲張りなドラマのように
そこに何の疑問もなく歩く自分を重ね合わせ
浸って笑っているなら
いらねえものばかりじゃなかった
消せない声が彷徨っている

はじめて触れた優しさや
はじめて受けた裏切りや
はじめて渡された君との約束が
ぜんぶ現在の僕なのさ

こどものような真っ直ぐな君に
愛情と嫉妬が見え隠れした
「愛する」は「愛される」より悲しいと
はっきりしない空をただ眺めてる

流れる時間と流される自分
どちらも認める卑怯な言い訳のように
そこに何の疑問もなく歩く自分を重ね合わせ
黙って喋っているなら
いらねえものばかりが弱った
懲りない心動かしてる

信じてくれたひとたちや
傷つけた君の心や
嗤うことなく響いてくれた君の瞳が
ぜんぶ現在の僕なのさ

愛してくれた人たちや
支えてくれたひとたちや
本気で叱ってくれた言葉の数々が
ぜんぶ現在の僕なのさ

追いつけないの鳥たちの群や
風になれない一枚の枯れ葉や
夢ばかり浮かべたもう、逃げないように
そして現在を見つめていた
淋しがりやの現在を見ていた
そして現在を生きていた